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小惑星はホロスコープの脇役?西洋占星術における意味を解説(一覧表あり)

小惑星はホロスコープの脇役?西洋占星術における意味を解説(一覧表あり)

ホロスコープを読み解くときに大事な主役となるのは太陽や月を含む10個の天体です。

舞台や物語でも、脇役に注目すると、名脇役と呼ばれる人の存在が、その舞台を盛り上げることがあります。それはホロスコープでも同じです。脇役に注目することで、今まで見えてこなかった、あなただけの物語がさらに鮮明に見えてくるでしょう。

Sumie
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この記事では、ホロスコープの脇を固める小惑星について、小惑星の中でも特に注目すべき四大小惑星、キロンの意味について解説していきます。


1.【ホロスコープの脇役】西洋占星術における小惑星の意味

小惑星とは、太陽を中心に公転する天体で、惑星、準惑星、衛星、彗星を除いたすべての天体のうち、ガスなどの放出がない天体のことです。小惑星は主に火星と木星の間にあり、帯状に回っているモノが多く、その帯状の軌道を小惑星帯と呼びます(キロンは土星と天王星の間を、楕円を描くような軌道で動いている)。主に岩石からなります。

1801年1月1日にイタリアのシシリー島の天文台でケレスが発見され、それから現在でも数が増え続けており、現在では数十万個の小惑星が発見されています。

西洋占星術における小惑星

西洋占星術では、主に月から冥王星までの10個の天体を主役としてメインで扱います。その主役をそれぞれ読むことで、そのホロスコープの持ち主の生活スタイル、言語スタイル、恋愛スタイル、勝負のスタイル、社会的な活動、結婚や出産、収入の得方など、さまざまなことがわかります。

20世紀後半になると、小惑星も「その人の資質や運命に影響を及ぼす可能性もある」として、ホロスコープの中で使用されるようになりました。

特に四大小惑星である「ケレス(セレス)」「パラス」「ジュノー」「ヴェスタ」が重要視されるようになり、そのほかに現在では「キロン(カイロン)」も重要視される小惑星の一つとなりました。

西洋占星術では、これらの小惑星の解釈をギリシャ神話と関連付けて考えられ、神話からそれぞれ抱えている問題や心理的パターンを読みといていくことができるとされています。

小惑星は主役である10天体に比べ、影響力は小さく、脇役のような存在です。ホロスコープを読み解くときは、主役である10天体の影響をしっかり読むことが前提で、さらにそのチャートの物語を補足させるために脇役であるにも登場してもらうという流れで読むことが肝心です。

また、小惑星は10天体のように、明確に「これ」と分かるような事象が起こることは滅多にありません。小惑星は「心の在り方・潜在的にあるもの」を表すものなので、自分の心の在り方からくる影響を、深く探っていくことで「そうかもしれない」となるポイントになります。

小惑星を読む際の考え方

舞台の中でも主役と脇役がいて、物語が進行していきますが、その中に名脇役と呼ばれる存在がいますよね。小惑星の中にも、そのチャートの持ち主の人生における名脇役になる小惑星が存在します。

全ての小惑星を読むのもよいですが、主役、名脇役、脇役としっかりわけて捉えた方が、より立体的な読み方ができます。

名脇役になる小惑星の見分ける場合は以下のことに注目しましょう。


2.ホロスコープにおける小惑星の読み方

ホロスコープの小惑星を読むときに、真っ先に注目するのが四大小惑星である「ケレス(セレス)」「パラス」「ジュノー」「ヴェスタ」です。

この4つの小惑星は、火星と木星の間にある小惑星帯の中で、特に大きな部類なため四大小惑星と呼ばれています(現在ケレスは準惑星に分類されていて、小惑星の中ではパラスが一番大きいとされています)。

この四大小惑星は、それぞれギリシャ神話の女神と関連づけられ、心理的パターンや意味を見出されています。

また、キロンは、傷と癒やしと言われているからなのか、占星術を扱う人の中でも、先ほどの四大小惑星よりも注目している人が多い小惑星です。

ケレス(セレス)

ケレスは、1801年1月1日にイタリアのシシリー島の天文台で発見された、小惑星第一号です。火星と木星の間に位置します。

公転周期は1682日(約4年6か月)、一つのサインを140日(約4か月半)で移動します。

ケレスの意味は、乙女座の神話の豊穣の女神であるデーメテールとその娘ペルセポネが由来です。

ホロスコープ上のケレスの役割は、ペルセポネを愛してやまないデーメテールのような、母親としての役割と関連しています。それは、母性や育成として現れることもあるし、デーメテールのように過保護や激しく防衛的になる領域として現れることもあるとされています。

母と子の育成を示すケレスですが、“子”とは本来の子どもの意味だけではありません。子ども、仕事、企画、部下、パートナー、創作活動、植物や食物などもその対象に入ります。

ホロスコープにおけるケレスの位置は、そのチャートの持ち主が、どのように“子”を育てるのか、どのように愛するのかが示されているのです。

その他に、ペルセポネがハデスに連れ去られ、母子が引きはがされた運命をたどった神話から、ケレスは「別離」を表すとされています。特徴的なケレスのチャートを持つ人は、デーメテールのように、育てたものと離れることが何よりも耐えがたい痛みとして感じる人もいるかもしれませんね。

パラス

パラスは、1802年3月28日にドイツのブレーメンで発見された、小惑星第二号です。火星と木星の間に位置します。

公転周期は1686日(約4年7か月)、一つのサインを140日(約4か月半)で移動します。

パラスの意味は、ゼウスの子で、知恵と正義の女神であるアテナの神話が由来です。

神話の中でアテナは、戦士として真っ向から衝突するのではなく、戦略的に戦い、外交や交渉を好んだとされており、そのことからホロスコープ上のパラスの役割は、戦いを治めて平和をもたらすことと関連しています。

また、アテナは実用的な知恵を駆使し、機織り、料理、陶芸、数学、耕作、馬車や造船の発明をして、人間にもたらした女神とされ、知的創造力とも関連しています。

そのため、ホロスコープにおけるパラスの位置は、そのチャートの持ち主が、「どのように戦略を立てて解決していくのか」、「どのように創造的知性を表現するのか」が示されているのです。

アテナは勤勉な女神とも呼ばれ、怠けて過ごすこととは無縁の女神であるとされていることから、ネイタルチャートでパラスが“名わき役”になっている人は、「くつろぎ方が全くわからない」可能性があるとされています。

その他に、戦争という男の世界で活躍する女性の象徴ということから、男性性と女性性を融合した力があり、中性的な精神を象徴するとされています。女性の知的能力を磨く力男性社会へと大きな力で入り込んでいく力として現れる場合もあるようです。

パラスが“名わき役”になっているチャートでは、自分の内面の男性性と女性性との葛藤を感じる場面が多くなることもあり、世間のジェンダーに対しての考え方や在り方に疑問を抱くこともあるかもしれませんね。

ジュノー

ジュノーは、1804年9月1日にドイツのニーダーザクセン州のリリエンタールで発見された、小惑星第三号です。火星と木星の間に位置します。

公転周期は1594日(約4年3か月)、一つのサインを132日(約4か月半)で移動します。

ジュノーの意味は、ギリシャ神話でゼウスの制裁であるヘーラ(ローマではユノー)の神話が由来です。ヘーラは、女性の結婚生活を守護する女神であり、結婚と母性、貞操を司ります。

そのため、ホロスコープ上におけるジュノーの役割は、個人の結婚の可能性と関係しているとされています。パートナーのタイプや望んでいる結婚の形を象徴しているのです。

ホロスコープにおけるジュノーの位置は、そのチャートの持ち主の、「特別な人との関わり方や向き合い方」、「一対一の関係性において、相手と親密な関係を結びたいという思いをどのように体験し、体現していくのか」が示されています。

ジュノーは問題を生じやすい小惑星と言われており、忠誠心を裏切られたときの権利を主張する感情的な爆発、愛する人に裏切られたときや愛の誓いを踏みにじられたときに、どのような内面の激情が起こるのか、も示すとされています。

ジュノーの位置を読むことで、どの領域(サインやハウス)で不当に扱われたときに不安を抱き、権利を主張するのかがわかります。ネガティブな方向へ向かうと、嫉妬やコントロール、攻撃、自己犠牲として現れる場合もあるとされています。

ヴェスタ

ヴェスタは、1807年3月29日にドイツのブレーメンで発見された、小惑星第四号です。火星と木星の間に位置します。

公転周期は1325日(約3年7か月)、一つのサインを110日(約3か月半)で移動します。

ヴェスタの意味は、古代ローマの聖火を守るかまどの女神ウェスタ(ギリシャではヘスティア)の神話が由来です。古代ギリシアにおいて、炉は家の中心です。

そのため、ヘスティアは家庭生活の守護女神として崇められていました。また、炉は犠牲を捧げる場所でもあるため、祭壇や祭祀の女神ともされています。

また、ゼウスに永遠の処女を誓い、結婚の喜びと引き換えに、すべての人間の家の中心に座すこと、犠牲の最良の部分を得ること、すべての神殿で他の神々と栄誉を分かつという特権をゼウスから与えられたとされています。

炉の火は決して絶やしてはいけないものであるため、ホロスコープにおけるヴェスタの役割は、自分に集中する内なる火と関係しています。ヴェスタは家庭生活の守護女神でありながら、永遠の処女を誓い誰とも交わることがなかったことから、「恋愛」については示さない小惑星ということも大きな特徴です。

ホロスコープにおけるヴェスタの位置は、そのチャートの持ち主が「人生において最も集中するテーマは何か」「目的を成し遂げるために、何を犠牲にすればいいのか」などが示されています。

ヴェスタは仕事に強く影響があるとされていますが、特定の人間関係や趣味、修行、宗教的な活動に集中するという形で表現されることもあるようです。

もし、ヴェスタと天体がタイトコンジャンクションしていれば、その天体の事柄に対して徹底的に集中するため、その分野でのスペシャリストになる可能性も秘めています。

ヴェスタは、処女の女神であることから、「性生活の犠牲や恐怖、制限」を示すこともあります。ヴェスタを読むことで、性的なコンプレックスが読めることもあるでしょう。

キロン(カイロン)

キロンは、1977年11月1日にアメリカのカリフォルニア州サンディエゴにあるパロマ―天文台でチャールズ・トーマス・コワルによって発見されました。

公転周期は約50年8か月です。キロンは、土星と天王星の間で変則的な楕円形の軌道を描き、逆行も多いので、サインの滞在期間は異なります。

キロンの意味は、射手座の神話で出てきたケンタウロス族のケイローンの神話が由来です。

ケイローンは、父親であるクロノスが不在で、母親も半身半馬のケイローンを拒絶したとされ、アポロンとアルテミスに育てられました。太陽神であるアポロンから音楽、医学、予言の技を学び、月の女神であるアルテミスから狩猟を学んだとされています。ケイローンは、洞窟で黙って考えに耽ることを好み、薬草を栽培しながら病人を助けて暮らし、優秀な人間たちの教師役も務めたとされています。

小惑星キロンが発見されたとき、占星術師たちは、他の小惑星とは違い土星と天王星の間を軌道することから、土星的な現実世界から天王星とその先のトランスサタニアン的、潜在的無意識の橋渡しすることがテーマと捉えたとされています。また、キロンにどんな社会集団とも関りを持たずに振る舞い、どんな伝統にも従うことを拒否する「独立独歩」「アウトサイダー」「異端者」と当てはめたようです。

ホロスコープにおけるキロンは、ケイローンの神話、そして発見時から考えられたキロンの意味によって、そのチャートの持ち主の以下のようなことを示すとされています。

  • 隠された魂の傷(トラウマ・コンプレックス)
  • 治療者としての役割
  • 教師、メンターとしての役割
  • 自分は他の人とは違うという疎外感や孤独感を感じる部分

また、キロンが発見された70年代後半は、ディーン・ルディア、リズ・グリーンなどが占星術に深層心理学の観点を取り入れて新しいアプローチを始めた時期です。真の豊かさとは何かと「心」というものに注目が集まった時代でもあったので、キロンは癒やしやヒーリング、精神分析とも強く関係するとも言われています。

キロンは、公転周期が長い小惑星なので、サインでは読まずハウスで読むのが一般的です。

まずは、キロンの入っているハウス、キロンとタイトコンジャンクションもしくはハードアスペクトしている個人天体があるかを確認します。その配置から、どのような場面で傷を受けやすいのか、またその傷ついた魂を癒やす方法を読むことができます。


3.西洋占星術における小惑星まとめ

小惑星の研究はまだ発展途上なので、この小惑星の意味はこれです!と決めることは難しい部分があります。なので、今起こっている事象や今の関係について無理やり小惑星で当てはめにいかないように注意が必要です。

これは、小惑星だけでなく、10天体や12サイン、12ハウス、占星術のすべてに言えることですが、ホロスコープでその人の今までのすべてが読めるかと言われたら、そうではありません。

でも、人は「なぜ」という理由を知ることで安心を得る生き物です。どうにかして自分の性格や今の状況、相手の関係をホロスコープの中に無理やり見つけ出そうとします。

無理やり当てはめることは悪いことではありませんが、分からないときに無理やり天体を当てはめるのではなく、「わからない」として置いておくことも大切です。

小惑星は主役ではありません。大事な主役は10天体です。しかし、脇役を見ることで、自分の中にある内的な動きを把握することができることもあります。

無理やり当てはめにいくのではなく、主役、脇役、名わき役と、線引きをしながら、小惑星も取り入れて、占星術を楽しんでいきましょう。



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