最近、よく聞くようになってきた「気象病」と言う言葉があります。
「気象病の対策について書いた記事」では原因についても解説しましたが、その中で「低気圧」が原因の一つとの記載がありました。
今回は、もう少し理解を深めたい方向けに、「そもそも低気圧って何なんだっけ??」というお話をしていきます。
いつもと違い、理系男子のマネージャーの少しお堅い(そして細かいw)お話になってしまいますが、理解を深めたい方はお付き合いください。
(とは言え、医学をかじっているわけではありません。工学的観点での記載となります。)
1.気圧の変化と気象病の関係
冒頭に紹介した記事では、気圧の変化による気象病について、以下の2つの記載がありました。
- 血管などが膨張して、神経を圧迫して頭痛などが起こる
- 内耳の気圧変化を察する機能が敏感過ぎる。
ここでは、「低気圧」に焦点を当てて、もう少し突っ込んで考えてみたいと思います。
血管が膨張して神経を圧迫
これは後ほど記載する、低気圧についての解説を見て頂くとわかるかと思います。
低気圧が来ると、血管が膨張して神経を圧迫して頭痛などの症状が出る他、リンパも膨張してめまいの原因となることもあります。
内耳が敏感に反応
以前の記事そのままですが・・・
内耳には、気圧の変化を察知する前庭器官という場所があり、気圧の変化があると、そこのセンサーが反応して脳に情報を送ります。
そのセンサーが敏感な人は、脳に過剰に情報を送り過ぎるために、脳が混乱して、自律神経が乱れ、様々な症状が出てくると近年分かってきたようです。
イメージとしては、「人感センサー(内耳)が敏感すぎて、やたら開く自動ドア(過剰感応)」、「それによって室温の変化が激しく、エアコンが過剰に動作する(脳が混乱)」といったところでしょうか。
気管支が狭くなり、喘息が悪化する
低気圧が来ると、気管支が狭くなるようです。
これにより喘息が悪化する人もいるようですが、低気圧による温度差の影響の方が大きいのでは?との指摘もあるようです。
水分不足による関節痛や神経痛が発生する
これも、後ほど詳しく解説しますが、血管に外側からかかる力が弱くなることで、水分を血管に押し込む力が弱くなります。
これにより、体内を巡る水分のバランスが崩れ、関節痛や神経痛などが発生します。
2.気圧とは、空気の重さ
それでは、そもそも気圧って何?というところから解説していきます。
気圧は空気の重さ
そもそも論として、空気には重さがあります。空気って重いんです。
ポイント✨
空気の重さは、気温、湿度、標高などによっても異なりますが、気温20℃、湿度65%、1気圧の状態で、1m3当たり約1.2kgです。
つまり、縦×横×高さ=1m×1m×1mの箱に入っている空気の重さが約1.2kgです。
また、換算すると1L当たり1.2gとなりますので、空の牛乳パック1つに入っている空気の量が1.2gほどとなります。
さて、気圧ですが、天気予報でhPa(ヘクトパスカル)という単位をよく聞きますよね。
細かい話は以下に書きますが、簡単に言うと1m2当たり(例えば縦×横=1m×1m)の範囲に掛かる力のことです。
ポイント✨
地面に物を置くと、その重さ分の力が地面に掛かっていることになります。
同じように、地面の上に空気が置いてあり、その空気の重さ分の力が地面に掛かっている(同じく、我々人間にもかかっている)
これが、気圧の考え方です。
ちょっと難しい話
「h(ヘクト)」は100倍を意味しますので、「Pa(パスカル)」という単位が基本となります。
「Pa(パスカル)」は、1m2当たりに掛かる力の単位(N:ニュートン)です。
標高などにもよりますが、1kgの物体に重力が掛かると、約9.8N(ニュートン)の力になります。
空気も同じです。空気1kgに重力が掛かると、約9.8N(ニュートン)の力が地面に掛かります。
仮に、地球上に空気が1mしか無かったとすると、約12Paとなります。
低気圧は空気が少なく、高気圧は空気がたくさんある
では、低気圧と高気圧はどういう状態なのでしょうか?
ポイント✨
定義上は、「周囲より気圧が低い状態が低気圧、高い状態が高気圧」です。
言い換えると「頭上の空気の量が周囲より少ない(空気の重さが軽い)のが低気圧、多い(空気の重さが重い)のが高気圧」となります。
参考までに、「1気圧=1013hPa」という数値は中学校の理科で習ったかと思いますが、この時の空気の重さは1m2当たり約10000kg、つまり10tです。
我々がこの地球上に住んでいる限り、常に1m2当たり10t分の空気を背負って生きていることになります。
低気圧は、体が膨張する??
カップラーメンを深海に持ち込むと、同じ形のまま小さくなる実験を見たことはありますでしょうか?
水圧(水の重さ)がカップラーメンに掛かり、カップラーメンが小さくなる実験です。
先ほど、常に1m2当たり約10tの空気を背負って生きていると記載しましたが、これが急に無くなったらどうでしょう?
体は1m2当たり10t分の力で、内側から爆発してしまいます。
例
急に無くなるのは極端な例ですが、低気圧が来た状態でも同じことが言えます。
例えば、いつも1013hPaの環境にいるのに対して980hPaの爆弾低気圧が来たとしましょう。
この時の気圧差は約30hPa、空気の重さにして、1m2当たり約300kgです。
これだけの力が体から無くなれば、そりゃ不調も起きますね。
体に外側からかかる力が少なくなれば、その分血管に掛かる力も少なくなり、血管ば膨張したり、血管に水分が入りにくくなるというロジックです。
ちなみに、空気の重さが関係する気圧ですので、富士山の頂上でも同じ状態となります。
最後に、じゃあ高気圧だとどうなの??という疑問もあるかと思います。
疲れの回復が早い、という意見もあるようですが、耳が痛くなったりする例もあるようです。
つまり、いつもの状態が一番良い!!ということですね。
先ほども記載しましたが、標高によっても変わってきますので、山に行く際などは、空気の薄さ以外にもこのような懸念事項もあるということを覚えておくと良いでしょう。
冒頭にも書きましたが、この記事は「気象病対策の記事」の補足として書いています。
マネージャーコラム
【気圧=空気の重さ】気象病の原因「低気圧」とは、そもそも何??【簡単に解説】
最近、よく聞くようになってきた「気象病」と言う言葉があります。
「気象病の対策について書いた記事」では原因についても解説しましたが、その中で「低気圧」が原因の一つとの記載がありました。
今回は、もう少し理解を深めたい方向けに、「そもそも低気圧って何なんだっけ??」というお話をしていきます。
目次
1.気圧の変化と気象病の関係
2.気圧とは、空気の重さ
いつもと違い、理系男子のマネージャーの少しお堅い(そして細かいw)お話になってしまいますが、理解を深めたい方はお付き合いください。
(とは言え、医学をかじっているわけではありません。工学的観点での記載となります。)
1.気圧の変化と気象病の関係
冒頭に紹介した記事では、気圧の変化による気象病について、以下の2つの記載がありました。
ここでは、「低気圧」に焦点を当てて、もう少し突っ込んで考えてみたいと思います。
血管が膨張して神経を圧迫
これは後ほど記載する、低気圧についての解説を見て頂くとわかるかと思います。
低気圧が来ると、血管が膨張して神経を圧迫して頭痛などの症状が出る他、リンパも膨張してめまいの原因となることもあります。
内耳が敏感に反応
以前の記事そのままですが・・・
内耳には、気圧の変化を察知する前庭器官という場所があり、気圧の変化があると、そこのセンサーが反応して脳に情報を送ります。
そのセンサーが敏感な人は、脳に過剰に情報を送り過ぎるために、脳が混乱して、自律神経が乱れ、様々な症状が出てくると近年分かってきたようです。
イメージとしては、「人感センサー(内耳)が敏感すぎて、やたら開く自動ドア(過剰感応)」、「それによって室温の変化が激しく、エアコンが過剰に動作する(脳が混乱)」といったところでしょうか。
気管支が狭くなり、喘息が悪化する
低気圧が来ると、気管支が狭くなるようです。
これにより喘息が悪化する人もいるようですが、低気圧による温度差の影響の方が大きいのでは?との指摘もあるようです。
水分不足による関節痛や神経痛が発生する
これも、後ほど詳しく解説しますが、血管に外側からかかる力が弱くなることで、水分を血管に押し込む力が弱くなります。
これにより、体内を巡る水分のバランスが崩れ、関節痛や神経痛などが発生します。
2.気圧とは、空気の重さ
それでは、そもそも気圧って何?というところから解説していきます。
気圧は空気の重さ
そもそも論として、空気には重さがあります。空気って重いんです。
ポイント✨
空気の重さは、気温、湿度、標高などによっても異なりますが、気温20℃、湿度65%、1気圧の状態で、1m3当たり約1.2kgです。
つまり、縦×横×高さ=1m×1m×1mの箱に入っている空気の重さが約1.2kgです。
また、換算すると1L当たり1.2gとなりますので、空の牛乳パック1つに入っている空気の量が1.2gほどとなります。
さて、気圧ですが、天気予報でhPa(ヘクトパスカル)という単位をよく聞きますよね。
細かい話は以下に書きますが、簡単に言うと1m2当たり(例えば縦×横=1m×1m)の範囲に掛かる力のことです。
ポイント✨
地面に物を置くと、その重さ分の力が地面に掛かっていることになります。
同じように、地面の上に空気が置いてあり、その空気の重さ分の力が地面に掛かっている(同じく、我々人間にもかかっている)
これが、気圧の考え方です。
ちょっと難しい話
「h(ヘクト)」は100倍を意味しますので、「Pa(パスカル)」という単位が基本となります。
「Pa(パスカル)」は、1m2当たりに掛かる力の単位(N:ニュートン)です。
標高などにもよりますが、1kgの物体に重力が掛かると、約9.8N(ニュートン)の力になります。
空気も同じです。空気1kgに重力が掛かると、約9.8N(ニュートン)の力が地面に掛かります。
仮に、地球上に空気が1mしか無かったとすると、約12Paとなります。
低気圧は空気が少なく、高気圧は空気がたくさんある
では、低気圧と高気圧はどういう状態なのでしょうか?
ポイント✨
定義上は、「周囲より気圧が低い状態が低気圧、高い状態が高気圧」です。
言い換えると「頭上の空気の量が周囲より少ない(空気の重さが軽い)のが低気圧、多い(空気の重さが重い)のが高気圧」となります。
参考までに、「1気圧=1013hPa」という数値は中学校の理科で習ったかと思いますが、この時の空気の重さは1m2当たり約10000kg、つまり10tです。
我々がこの地球上に住んでいる限り、常に1m2当たり10t分の空気を背負って生きていることになります。
低気圧は、体が膨張する??
カップラーメンを深海に持ち込むと、同じ形のまま小さくなる実験を見たことはありますでしょうか?
水圧(水の重さ)がカップラーメンに掛かり、カップラーメンが小さくなる実験です。
先ほど、常に1m2当たり約10tの空気を背負って生きていると記載しましたが、これが急に無くなったらどうでしょう?
体は1m2当たり10t分の力で、内側から爆発してしまいます。
例
急に無くなるのは極端な例ですが、低気圧が来た状態でも同じことが言えます。
例えば、いつも1013hPaの環境にいるのに対して980hPaの爆弾低気圧が来たとしましょう。
この時の気圧差は約30hPa、空気の重さにして、1m2当たり約300kgです。
これだけの力が体から無くなれば、そりゃ不調も起きますね。
体に外側からかかる力が少なくなれば、その分血管に掛かる力も少なくなり、血管ば膨張したり、血管に水分が入りにくくなるというロジックです。
ちなみに、空気の重さが関係する気圧ですので、富士山の頂上でも同じ状態となります。
最後に、じゃあ高気圧だとどうなの??という疑問もあるかと思います。
疲れの回復が早い、という意見もあるようですが、耳が痛くなったりする例もあるようです。
つまり、いつもの状態が一番良い!!ということですね。
先ほども記載しましたが、標高によっても変わってきますので、山に行く際などは、空気の薄さ以外にもこのような懸念事項もあるということを覚えておくと良いでしょう。
冒頭にも書きましたが、この記事は「気象病対策の記事」の補足として書いています。
-マネージャーコラム
-体の状態, 紹介・解説