コラム

魚座の海で、土星と歩いた日々

2025年11月28日、魚座で逆行していた土星が順行に戻った。

そして、2026年2月14日のバレンタインデーに、赤いハートをもつ牡羊座へ歩みを進める。

2023年3月7日、土星は魚座に入った。
この約3年間、私のネイタルチャートの7ハウスを通過していたのだ。

7ハウスは「対人関係」「パートナーシップ」「契約」「コラボ」「ライバル」などを象徴する部屋。
そこに、土星先生のメンテナンスが入ったのである。

ここから、その約3年間を振り返ってみようと思う。

土星と土星のスクエア

土星が魚座に入るとすぐに、ネイタルチャートの射手座の土星とスクエアになった。

土星同士のハードアスペクトは約7年ごとに訪れる。
この時期、祖父との別れがあった。

私のチャートでは、ICに土星が重なっている。
だから、土星がハードアスペクトを形成するときは、必ずアングルで起こる。
そのため、事象はいつも大きなインパクトを伴うのである。

前のスクエアは、離婚だった。
その後の土星回帰では、祖母の他界と家の新築が重なった。
そして今回は祖父の他界。

予想はしていたので驚きはなかった。
その代わり、親に連絡し、祖父と電話で話し、「死」についての本を読み漁った。

祖父母に育てられたわたしにとって、この別れは精神的な自立を意味する。
もう、甘える場所はない。
その現実を悟ったのだ。

7ハウス土星と相手

土星が7ハウスを通過する間、わたしは仕事で「コラボ」や「監修」の機会を得た。
講座の受講者の中で、デビューを目指す人たちのサポートも始めた。

これは、「火」と「地」のエレメントが強い人に多い傾向だが、
私は、人間に興味はあるが、特別に「個人」に興味がない。

誰が何を考え、何をしているかに執着しない。
一人で進める方が好きで、人と歩幅を合わせるのが苦手なのだ。

それでも土星は「他者との関わり方」を再構築するため、課題を課してきた。

その課題はこうだ。

  • 相手を許すこと
  • 相手のやり方を許容すること
  • 相手の気持ちに寄り添うこと
  • 適度な線引きをすること

どれも苦手すぎる課題だった。
最初のうちは、相手に尽くしすぎたり、相手に期待しすぎたり、その塩梅が難しく、イライラすることもあった。

一人でやっていれば、こんなことは起こらない。
それでも、現実は止まらないし、投げ出すこともできない。
人と関わることが億劫になり、何度もやめたいと思った。

それでも続けるうち、少しずつ許容範囲が広がっていったのだ。

土星が順行と逆行を繰り返す中で、わたしもやり方を変え、考え方を変えた。

私と相手は違う。
私と同じようにできるわけでも、したいわけでもない。
相手には、相手の気持ちや希望、やり方がある。

「わたしと相手は違う」
その理解が、ようやく腑に落ちていったのである。

最後の土星の教え

土星が魚座を運行する後半は、特に土星の重さを感じることはなかった。
これは、私のチャートの天体は全て、前半~中盤度数にあるからだろう。

「もう、土星の課題も終わりか~」と油断していた。
しかし、最後の教えは残っていたのだ。

順行に戻った直後の満月の日、友人とのやりとりで失敗した。
励ますつもりの言葉が、友人を傷つけたのである。

きっと、ただ話を聞いてほしかったのだろう。
悲しみに寄り添ってほしかったのだと思う。

あとから気づき、謝罪のメールを送った。

この出来事が教えてくれたのはこうだ。

「わたしにとっての良いことは、相手にとっての良いことではない」

土星はその最終確認を突きつけてきたのである。


これまでのわたしなら、相手の反応に疑問を抱き、少し憤りを感じていただろう。
でも、この約3年、土星と共に歩んできた道のりがあったから、傷つけてしまったとしても、すぐに気づき、自ら謝ることができた

そして、自分のコミュニケーションや思考の癖に気づき、
相手の痛みに思いを馳せることができるようになった。

人は、同じ言葉を投げかけられても、それぞれ受け取り方が違う。
私の鼓舞する言葉で、前を向く人もいれば、下を向く人もいる。

土星は最後に、静かに告げてきた。
「自分と相手は違う」
だからこそ、人と人の間には、やわらかな配慮と、しなやかな距離が必要なのだ。

土星のメンテナンスによって、「他者との関わり方(7ハウス)」を学び、
その対面にいる「わたし(1ハウス)」を知ることになった。

土星魚座の課題はあと少し。
しっかり向き合っていきたい。

そして、土星はもうすぐ、次の課題へと足を踏み入れる。
次は8ハウス。
この約3年で学んだ「他者との関わり方」を、さらに深く落とし込む時が来るのだろう。

あなたは、この約3年で土星から何を学んだのだろうか。

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